去る2009年、日本で公開された映画
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
アラカン世代には若い頃から人気のブラピ、カッコいい代表格のブラッド・ピット主演。
当時40代の私も映画館で鑑賞しました。
SFなのかファンタジーなのか…
いまひとつ共感に届かないような…
モヤモヤした思いだったと記憶してます。
そして12年後。
先日ふとした機会に、再び
『ベンジャミン・バトン 』視聴したところ
涙がはらはらとこぼれて止まりません…!
もし、あなたも若い頃に
『ベンジャミン・バトン 』を視聴して
同じような思いをいだかれたなら
ぜひ今、もう一度鑑賞してみてください!
『ベンジャミン・バトン 』についての
ネタバレ考察・感想を書いていきます。
記事にはネタバレを含みます。
初めてベンジャミン・バトンを観る方や
視聴前のネタバレを避けたい方は
映画を見てから、また来てくださいね!
ベンジャミン・バトン どんな映画?
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は
80歳の老いた姿で生まれ、歳をとるごとに
若返っていく男の一生を描く作品。
F・スコット・フィッツジェラルドの小説を
「セブン」「ファイト・クラブ」の
デビッド・フィンチャーが映画化。
2008年度アカデミー賞では
最多13部門にノミネートされました。
監督:デビッド・フィンチャー
脚本:エリック・ロス
ベンジャミン・バトンをブラッド・ピット
ベンジャミンの恋人デイジーを
ケイト・ブランシェットが演じています。
ベンジャミン・バトン あらすじ
80歳で生まれ、歳を重ねるごとに
若返っていくベンジャミンの人生。
人とは違う運命の下に生まれた
ベンジャミンの誕生から死まで…。
1918年11月11日、
第一次世界大戦が終わった日に
老衰寸前の姿で生まれた赤ちゃんが
ベンジャミンです。
ベンジャミンが若返りながら
船乗りになり、太平洋戦争を生き抜き、
再び故郷に戻り、結婚して…
外見だけが若返っていくという
奇妙な進行形の人生を送るベンジャミンの
出会いと別れの物語です。
ベンジャミン・バトン ネタバレ考察
年代を追って、考察していきます。
ネタバレありますのでご注意ください。
1918年、第一次世界大戦が終わった日
(11月11日)老衰寸前の老いた姿で生まれ
老人施設の前に捨てられたベンジャミン。
少しづつシワが減り、肉が付き、
無邪気な老人として生きるベンジャミン。
外見は老人だけど、精神は幼児ですから
ベンジャミンの表情は豊かですし
好奇心のかたまりのような年寄りです。
1930年。11歳(姿は68歳)の時
老人施設入居者の孫娘 デイジーと出合う。
ベンジャミンとデイジーは
同い年の幼なじみなんですね!
ベンジャミンはデイジーに
「自分は子どもだよ」と打ち明けます。
秘密の共有…。デイジーだけが
ベンジャミンの真実を知ったわけです。
(このシーン(^-^)好きです)
1936年、18歳(姿は62歳)の冒険心から
船乗りになり、23歳からは
太平洋戦争に参戦して軍用船で過ごす。
戦争中の外見は50代ですが
中身は20代の若者ですからね、元気!
1945年。終戦とともに故郷に戻り
27歳で再会するベンジャミンとデイジー。
(ベンジャミンの姿は53歳)
その後、すれ違いながらも恋仲になる二人。
終戦から10年後なら、二人は37歳。
(ベンジャミンの姿は43歳)
お似合いのカップルといえる二人の外見…。
結婚して、娘キャロラインが生まれる。
若返り続けるベンジャミンと
年を重ね老いていくデイジーが
同年代として過ごせる時間はほんの僅か。
5年後には、二人は42歳。
ベンジャミンは38歳の外見です。
10年後には、二人は47歳。
ただ、ベンジャミンの外見は…33歳なんです!
この外見の逆転…!
男と女、この年代は女性には厳しい…。
ふと気づけば、鏡の中の女は肌くすみ、
初老に近づいている自分を見るデイジー。
受け入れがたい現実ですよね…。
ベンジャミンの外見だけは
若くなっていくわけですから…!
離婚後、娘キャロラインの様子を見たくて
デイジーの元に姿を見せた時には…
キャロラインが17歳だとしたら
二人は54歳。人生も後半ですよね。
デイジーは54歳らしく落ち着いた姿に。
でも、ベンジャミンは54歳なのに
見た目は若く、26歳の青年で
…カッコいいブラピの姿なんです。
(このあたりのブラピは、往年のファンへのサービスカット?カッコいいです!)
ベンジャミンの外見は、若い青年なのに
どことなく生気が感じられません。
表情が乏しいのです!
歳をとってくると表情が乏しくなります。
新鮮な感動がなくなり、感情が抑えられ
表情に変化がなくなってしまいます…!
外見が70代老人のときに見せていた
はつらつとした楽しそうな表情の豊かさは
若いベンジャミンにはありません。
ここが、最高に悲しかったですね…!!
ベンジャミンは、つまらないんだ…
若さを楽しめず、若さゆえの悩みもなく…
世の中の酸いも甘いも体験したあとでは
新鮮な驚きも心魅かれるものもない…!
若い外見はしていても、
心は若さを失っているのだと思います。
ベンジャミン・バトン ネタバレ感想
若くカッコいい外見なのに、生気なく
老人のような佇まいのベンジャミンが
とても印象的でした。
少年(姿は老人)時代に
老人施設に暮らしていたベンジャミンは
人生が終わる現実を見て育ちました。
若い姿を手に入れても、行きつく先は同じ。
老いていこうが、若返っていこうが
人生は一度きり。
永遠はない、と感じながら永遠を探し
ずっと絶望の中に生きているのがベンジャミンなのでは…!
ただ、デイジーに対して
「変わらない永遠」があればいいな、と
彼女に希望を見ていたのではないかしら…。
希望を持って生きてこそ、人生。
ベンジャミンだけじゃなく、誰もが。
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映画の冒頭に
逆回りする時計のシーンがありますが
「ああ、時を戻せたらな…
若い頃に戻れたらどんなにいいだろう…」
という思いの象徴でしょうか。
でも、時を戻せたら…という願いは叶わず
人生の時は流れるまま…。
誰もが人生をただ進めていく、と。
まとめ
心の深いところまでグサッとくることを
映像にして見せてくれるから映画が好きです。
167分。
多少長い視聴時間ではありますが
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は
人生を考える機会になる映画だと思います。